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おかわり017杯目 背脂醤油のあ

『チャーシュー麺大盛り+ネギトッピング』

(東京都渋谷区渋谷)

商売っけのあまりない外観最近、渋谷界隈はラーメン激戦区になっているようだ。この「ラーメン激戦区」という言葉は既に死語になっている気がしなくもない。なぜなら、今やちょっとした繁華街はどこもラーメン屋だらけ。激戦区じゃない繁華街を探す方が難しいのではないか、というくらいだ。

というわけで、今回訪問したお店の文章を書くにあたって、枕詞として「ラーメン激戦区」という表現を使わせてもらったが、あまり深い意味はない。なぜなら、私はラーメンにはそれほど興味がないからだ。ラーメン二郎を食べ慣れてしまうと、他のラーメンを食べなくなってしまうという奇妙な現象が起きる。ラーメン二郎はラーメンではない、二郎という食べ物であるという言葉はまさに言い得て妙。

そんな私であったが、渋谷に興味深いラーメン屋があると聞いて、俄然訪問してみたくなった。その名を「背油醤油のあ」と言い、冗談としか思えないようなチャーシューを出すことで有名なのだという。

チャーシューは、思ったよりも手間がかかるし原価率が高くなる食材だ。ラーメン屋としては、客単価を一気に跳ね上げる好機であると同時に、手間暇ばっかりかかる面倒な存在でもある。そんなチャーシューが、ドンブリ一杯に出てくるというのは見応えがありそうだ。ラーメン二郎系列であれば、チャーシューが「枚」ではなく「塊」で出てくることがよくあるが、それよりももっと強烈な印象があるという噂を聞いた。ならば、是非訪れてみなければ。

お昼時、地図を見ながら現地を目指す。明治通りからわずかに道を入ったところに、そのお店はある。目印はペッパーステーキ。・・・って、おい!お店を発見することはできたけど、これはすごい外観だ。白い看板で、「背油醤油」「らーめんと書かれているのはわかった。で、お店はどこだ?

※現在は店が移転しましたので、この地にお店はありません


不安になってくる商売っけの無さあー、このビルの地下一階ですか。

こんな目立たないラーメン屋ってなかなか無いと思う。いや、それ以前に、ビルのテナントとして入居しているお店以外で、一階以外にお店があるラーメン屋ってちょっと珍しい。

それにしても地味だ。ラーメンの写真がガラス戸に貼ってあるくらいだ。

しかし、感心しながら写真を撮影していると、次々とお客が地下へと吸い込まれていく。おっといかん、自分も早く並ばないと。


不思議な内装の店内お昼時ということもあって、階段部分まで行列が出来ていた。しばらく待って店内に入ると、中はこんな感じ。店主一人で切りもりしていて、カウンター席のみの8席。

このお客さんの背後は、妙にスペースがある。そして、お客が座っている椅子は、ラーメン屋では見かけないクッション付き背もたれ付きの椅子。さらに、壁面には大型の薄型テレビが設置されていた。

どうやらこのお店は、以前飲み屋(居酒屋ではなく、お姉ちゃんがいるようなお店)だったところを居抜きで入居したものらしい。独特の薄暗さが、何だか怪しい雰囲気を醸し出していた。

メニューは、ラーメン600円、チャーシュー麺にすると900円、大盛り100円増しだった。ラーメン600円でも相当な肉の塊がトッピングされるらしいのだが、ここはあえてチャーシューメン大盛りにして注文をしてみる。

カウンターは、なにやら墓石っぽい石で出来ていた。・・・御影石か?すごく重そうなカウンター。数人おきに、自家製キムチが入った器があって、ご自由にお食べくださいとなっていた。是非食べたかったのだが、3人向こうの人が大興奮してキムチをばりばり食べていて、手元にキムチ皿を抱え込んでしまっていたので食べるのを断念。

その隣では、出来たラーメンをカウンター越しに店主から受け取っていた。熱くて、ドンブリが持てない。店主が「熱いので、ティッシュを使ってドンブリを持ってねー」なんてお客にアドバイスをしていた。何故そんなにアツアツなのかというと、よく見ると麺上げ直前まで、ドンブリを熱湯に浸しているからだった。紅茶やコーヒーを飲むとき、ティーカップを温めておくというのはよくやることだが、ラーメンドンブリでそういうことをやるとは意外だった。結構こだわりの人だな、ここの店主は。


チャーシュー麺大盛り+ネギトッピング登場。チャーシュー麺大盛り+ネギトッピング。

うわ、これはすごいな。

何が凄いって、麺が見えません。何で麺が覆われているのかというと、これがチャーシューだもんな。こんな光景、見たこと無いぞ。

トッピングの野菜で麺が隠れる、というのは見かける光景だが、チャーシューのせいで下が隠れてるって・・・。

チャーシュー、といってもこのお店の場合豚バラ肉の塊であった。薄くスライスしたものを想像していると、この塊に仰天することになるだろう。


チャーシュー(豚バラ肉)を引っ張り出してみたところチャーシューがわかりにくかったので、肉だけ引っ張り出してみた。ごらんのボリューム。

もともと、普通のラーメンだとこの塊が一個なのだが、チャーシューメンになると2個に増えるというわけだ。ラーメンとチャーシューメンの値段差が300円であるということを考えると、この肉の塊が1本300円という計算になる。

ん、待てよ、ということは、600円のラーメンということは、チャーシュー300円を除くとラーメン本体は300円ということになる・・・?

あんまり意味のない計算だが、こういうことをあれこれ腹算用するのは楽しいひとときだ。


この肉の厚さは何だ!?このチャーシュー(チャーシュー=焼き豚なので、このお店の場合煮豚と呼ぶのがふさわしい)、面積は広いかも知れないけど厚みはないだろう、と思っていた。しかし、箸でつまんでみるとこれが大きな勘違い。ずっしりとした重みとともに、現れたのは分厚い肉の幅だった。世界の中心で「デカイ」と叫ぶ。

これだけデカイと、肉を食べにきたんだか麺を食べにきたんだか、本末転倒になってしまった。スープは背油たっぷりでぎとぎとこってりな味わい。蛋白質と、脂肪と、炭水化物をこれでもか、と盛り込みましたっていう感じだ。おや、栄養バランス良さそうじゃないですか、と一瞬思ってしまうが、こんなの食べてて体にいいわけがないだろう。これは究極のB級グルメだ。

これでチャーシューが固かったら顎の鍛錬としてとても貴重な教材になりうるのだが、何だか有り難い気持ちになっちゃうくらいぷるぷるのやわやわ。お年寄りでも安心して食べられる柔らかさだった。箸でつまむと崩れそうだ。

まあ、お年寄りがこれを食べちゃ、いけないと思うが。

客層は、若い人と太った人が中心で形成されていた。やはり、ここは客を選ぶお店だ。しかし、この気前の良さ、豪快さ、そして値段の安さは特筆ものだ。何度も通い詰めるお店ではないと思うが、「ああ、肉に食らいつきてぇ」とふと思った時、立ち寄るにはいいお店だと思った。

いや、すばらしかった。ごちそうさまでした。

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