ホームへべれけ紀行 > 阿蘇・九重[06]

scene#041 [2007.09.06-09.08]

地獄と山のマリアージュ【阿蘇山・九重連山】

(その6)

砂千里ヶ浜12:04

中岳山頂から南方を見下ろすと砂千里ヶ浜。

その名の通り、砂(といってもごろごろした小石なんだろうが)がびっしりと砂漠のように広がっているのが見える。

あそこから登ってくる予定だったが、案外ここから見ると標高差がある。砂の道をじゃりじゃりと歩いた後、急に坂がきつくなるのだろう。歩きにくい道だと思う。


高岳方面を臨む

12:08

高岳方面を見ると、雲がかかってきていた。普通、山用語では雲の事をガスと呼ぶが、ここでガスというと火山ガスと勘違いしてしまうので敢えて「雲」と呼ぶ。

ただ、ここからはなだらかな稜線歩きで山頂に行けそうな気配。一息に攻め落としてしまえ。


謎の配管12:10

登山道の傍らにあった謎の配管。現在は使われていないようだ。何のための配管で、どこに繋がっていたのだろうか?

この周辺に建物の類は当然、ない。あるとすればロープウェイ乗り場くらいだが、わざわざここから配管するには距離が遠すぎる。

雨水を集めていたのだろうか?

謎だ。

しばらくこの管の行き先を目で追いながら検討してみたが、気の利いた答えは導き出せなかった。せいぜい、「阿蘇火口の地下には秘密基地がある」というどうしようもないアイディアくらいだった。


雲が濃くなってきた

12:13

雲の中に突入した。

道は比較的分かりやすい。踏み跡がしっかりしている。しかし、高岳核心部に取り付く頃になるとまた岩がごろごろした状態に切り替わっていた。


おや、ここは?

あれ?

雲が晴れてくると、どうも心当たりのない地形に出てきた。

なだらかだ。山頂に向かっている道では、ない。

高岳に取り付いていた筈だったのに、それらしきものが見あたらない。しまった、道を逸れてしまったか。


何か人口建造物が見える 天狗の舞台?

12:23

こういうときはむやみに動かないで、手元の地図を読図しながら状況把握するのが一番だ。

んー、写真左を見ると、向かって左側に見える山の上に三角形の「何か人口建造物らしきもの」が見えるんだよなあ。何だろう、あれは。月見小屋、という避難小屋が高岳中腹にあるので、それだろうか?しかし地図とうまく噛み合わない。

写真右は、特徴的な地形をしている。一旦切れ込んで、そして舞台のような突起が山に出来ている。どうやらあれは「天狗の舞台」と呼ばれている場所のようだ。高岳を通り過ぎている。

状況から勘案するに、高岳に向かう途中南腹を回り込んでしまったようだ。


アルペンガイド

12:23

結論として、どうやら「大鍋」と呼ばれる高岳東南方面に今いることが分かった。しかし、そこには「月見小屋」と呼ばれる避難小屋があるはずだ。それが見あたらないのが不思議だ。現在地が大鍋ということで間違い無いはずなのだが、その点が少し引っかかった。こんな見晴らしが良い処なのに小屋が見あたらないとはどういうことか。

心の片隅では、山の上に見える人口建造物っぽい三角形のものが小屋じゃあるまいな、という不安はあった。地形図上あり得ないとわかっていても、確信が持てなかった。


小屋行きの矢印12:23

小屋→、と書かれた岩を発見。自分から見て進行方向にやはり小屋があるようだ。目視できないが。

これで物的証拠は揃った。こんなところに長居は無用だ、さっさと高岳山頂をめざすべ。

それにしても、登山地図にルートが載っていないところにある山小屋って何だよ。実際に道が無い筈がないわけであって、あるんだけど記述が省略されていることになる。おかでんはまんまとその「記述されていないルート」に紛れ込んでしまったというわけだ。


道が分岐している

12:24

このあたりになると道が枝分かれしていたり、道なのかそうでないのか分からなかったりとややこしい。そもそも、大鍋に至るルートは登山地図上には載っていないのだから、困ったものだ。おかでんはこの写真の右側のルートを通ったが、結果的に左側にいくのがリカバリー策としては正しかったようだ。

・・・どっちにせよ、正式な最短ルートから逸れたのは10分くらい前の話になるわけだけど。

このあたりは「高岳→」という矢印や表示が全くないため、適当に道を選んでいくしかない。


よくわからん山だ

12:26

うーん・・・。

よくわからん山だ。今いる場所はばっちり把握しているので山頂を見失う事はないが、先ほどあった道が案内途切れがち。道先案内をあてにしちゃいかんな。

正面に見えるのが高岳山頂と思われる。


修正された案内

12:26

しっかりした案内表示を発見。少し安心する・・・が。

黄色ペンキで大きく中岳とかかれているのだが、それ以前に書かれて既に薄くなっている白ペンキも気になる。

黄色ペンキだと中岳は左だと言っているが、白ペンキは左右の矢印と上の矢印が確認できるのだった。上に何があるんだ。というか高岳山頂しかありえんだろ。何故消す?

もういい。信用しない。

このまま案内に従っていると、本当に中岳まで連れ戻されてしまう羽目になる。それはバカバカしいので、道なき道をよじ登っていくことにした。どうせ今ここは高岳の中腹だ。一番高いところに登れば、そこが山頂だろ。


何を指しているのかわからない矢印

12:29

自分では道無き道を攻め入ったつもりだったのだが、敵もさるもの、待ち伏せ攻撃をしかけてきた。黄色ペンキの矢印がここにも登場。

しらんしらん、お前の事なんかしらん。信用せんぞ。

これが中岳行きの矢印なのか、高岳行きの矢印なのかさっぱりわからないからな。


高岳が見えてきた

12:31

火山性の山なので岩がゴロゴロしているが、地形上のせいかそれほど険しくはない。緑が比較的多く覆い茂っているところを見ても分かると思う。

だから、道なき道を進むのは比較的容易。何度も中岳へのご案内が来たが、ことごとく無視してやった。

それ、そう言っているうちに高岳の山頂らしきものが見えてきたぞ。我が選択にミス無し。・・・道を一回踏み外して大鍋方面に行っちゃったけど。


しつこい勧誘

12:32

高岳山頂が目前だというのに、相変わらず中岳へのご案内が続く。おかでんがいる位置関係の問題だろうか。阿蘇山塊最高標高である高岳様を差し置いて、中岳、なんたる存在感。しらんしらん、お前なんか知らん。帰れ。さっき登ったわ。

紛らわしいなあ、もう。


月見小屋

12:34

山頂間近になって大鍋方面を振り向いてみると、行方不明だった月見小屋を発見。

写真だと小さくて分かりにくいが、写真中央に見える黒っぽいものがそれ。

背後に丘が控えていたため、中岳方面からきた人は目前にならないと気がつかない事になる。なるほど、だから「おっかしいなあ、こんなに見晴らしの良い大鍋なのに、ランドマークとなる避難小屋が見つからない」と探す羽目になったのだな。


高岳山頂

12:35

別ルートに紛れ込んでしまった、というチョンボはあったが、無事強引に復帰して高岳山頂に到着。

大鍋からここに来るまで、一度も「高岳→」という案内を見なかった。

今回のミスは、中岳から高岳への稜線はL字型に曲がっていたのに、そのまま直進してしまったということだった。大鍋、天狗の舞台という非常に分かりやすいランドマークがあったので比較的軽い時間ロスで済んだ。


この道はいつか来た道

12:46

山頂で一休みしながら中岳、ロープウェイ乗り場方面を振り返る。

写真右の山腹にある水色屋根の人口建造物がロープウェイ乗り場。あそこから山伝いにここまでやってきたことになる。

山頂から、「今歩いてきた道」を振り返るのは至福のひとときだ。「これだけ歩いたぜへっへっへ」というわけだ。


さてどっちに行くか

12:48

山頂には、おかでんの他におばちゃんで構成されたパーティーがいた。「これ、あげる」とあめ玉を頂戴した。あんまり嬉しくはなかったが、ありがたく拝領する。

このパーティーはロープウェイ乗り場からピストン登山の予定であり、中岳方面に下山していった。

さて、自分はどうしたものかな。

選択肢は3つある。

(1)安全、快適ロープウェイ下山。ただし卑屈な気分満点
(2)ロープウェイの直下を通る登山道、所用時間85分間
(3)仙酔尾根というダイレクト下山ルート、所用時間70分間

これだけ見ると、まあまず(1)は無いなと。楽しすぎだろ、というわけだ。

(2)もいまいち乗り切れない。さっきからさんざん「中岳はこっちで〜す」という案内表示を見せつけられてきたので、意地でも中岳に戻ってやるもんかと。

消去法で(3)ということになる。所用時間も(2)と比べて短いし、良い事ずくめだ。しかし、登山地図には赤字でこんなことが書かれていた。

仙酔尾根:バカ尾根とも呼ばれる単調な急坂

そうですか、バカ尾根ですか。日本各地、あちこちの山でバカ尾根という名の付いている尾根道はある。その名の通り、バカかと呆れ、腹が立つほどひたすら登る(下る)事になる。以前鹿島槍下山時に膝を痛めた事があったので、あんまりそういう急斜面は歩きたくないんスが。消去法でこれですかそうですか。


仙酔尾根へ12:51

まあそういう事なのね、と自分で納得させつつ、高岳を後にした。

さあこれからは下山だ。上りの時と違い、標高差が700m近くあるぞ、それを1時間ちょっとで下りようというんだから覚悟しておかないと。


人口建造物はケルンだった

12:55

大鍋に居たとき、「何か人口建造物が見える。避難小屋じゃ・・・ないよな」と自分の判断を迷わせた物の正体が分かった。

なんのことはない、ケルンだ。

そういうことね。

ケルンが100mおきくらいに連なっており、何かの弔い儀式をやっているような感じだった。

(つづく) 

 前のページ 戻る 次のページ

− 菜 單 −

アワレみ隊活動記録 胃袋至上主義宣言[連載] 胃袋至上主義宣言[単発] 思考回路のリボ払い 蕎麦喰い人種行動観察 美貌の盛り へべれけ紀行 食い倒れ帳 愛と幻想の浪速日記

− 連載結束 −

ダイエット!?日記 土下座バイキング