ホーム >胃袋至上主義宣言[連載] > 保田漁港・ばんやの魅力[ばんや紀行写真集(1)-2]
はっきりいって、二人でこれだけの料理を注文するのは頼みすぎだ。メニューボードを見ると、ついつい頭に血が上ってしまい冷静な判断が出来なくなってしまう。
ということで、かま焼き800円。
あっ、まだ頼んでたっけ、と忘れた頃になって登場だ。なんか、以前も似たようなシチュエーションがあったな。
しかも、最後の最後になってこんなデカいものが来てしまうのだから・・・ゲームにおける、「ラスボスと思って戦っていたら、そのさらに後にもう一人『真のボス』が出てきた」みたいなもんだ。
なにしろ、このでかさだ。お皿を手にしている奴の胴体よりも幅がある。
こんなごつい魚と、海の真ん中でばったりであったら、絶対勝てっこないよな、と意味のないシチュエーションで思わず妄想してしまった。
味はもう、形容するのも面倒なくらい美味い。やはり、これだけ大きいと、「箸でひとかけら切り分けて食べる」サイズもでかくなる。よいしょっと、と身をこそげ落としたら、タバコの箱くらいのサイズのやつがとれた。これでもでかいので、さらに半分の大きさにして食べる。
中まで火は十分に通っているのだけど、じわっとしみ出るジューシーさは失われていない。ああ、美味しいです。
・・・でも、半分も食べられなかった。ギブアップ。
朝採れ寿司の半分と、かま焼きの半分をそれぞれパックに詰めて、お持ち帰りにした。このお店は、有料だけどお持ち帰りパックが提供されているのが有り難い。
帰り際、連れと会話していたときに気づいたのだが、
「これって・・・最初っから持ち帰ること前提に注文するのもアリかも?」
お持ち帰りばんや。車で訪問している限り、現地でお酒が楽しめないわけだが、お持ち帰りにすれば家でビールやお酒を楽しみつつばんやの料理を、ということができる。ううむ、それは魅力だ。
さて、お次は2004年10月17日に訪問した際のばんやだ。秋真っ盛りの時期に訪れたとあって、脂が乗った秋魚に期待だ。
ひさびさにばんやのwebサイトに行ってみたら、営業時間がいつの間にか延びていた。以前は11時〜16時だったと記憶しているが、今では9時〜19時だ。営業時間を延長しないとお客がさばけないくらい、繁盛しているということなのだろうか。数年前、「ばんや」の横に「ばんやの湯」といいう日帰り入浴施設兼宿泊施設が出来たし、何やら急拡大なんである。そういえば、お店に向かう道中、道路脇の電柱のあちこちに「↑ばんや」とかかれた看板が貼り付けられていたな。「隠れた名所」と呼ぶには、もうふさわしくない時期になってきている。
「秋の魚・・・って言ったら何があるんだろう?」
「サンマ!」
「うーん、サンマは恐らく東京湾の中では捕れないと思う」
恐らくアジ、サバといったところか。アジは、年中ばんやでお見かけする定番の魚。
しかし、予想に反して、サバは殆どメニューに載っていなかった。保田近辺では見かけない魚なのかもしれない。(写真はクリックすると拡大します)
メニューボードは、比較的空いていた。天気が安定していることもあり、いろいろな魚が捕れるものかと思ったのだが、この時期だとこんなものだろうか。
消費税総額表示になってから初めての訪問。「朝獲れ850寿司」が朝獲れ892寿司になっていたらイヤだな、と冗談で話をしていたのだが、さすがにこの値段にはこだわりと誇りがあったらしく、価格に変動なし。
壁に張り出されている「特選 ばんや寿司」を見てびっくり。2,480円かよ。
「朝獲れ850寿司」が9カン850円、「朝獲れ特選ばんや寿司」が同じく9カンで1,660円で存在するが、こいつは2,480円とダントツに高い。
沢山のお客さんが訪れるようになって、幅広いニーズに対応できる商品ラインナップにしようとしたのだろうか。
ちなみにこのお寿司、「朝獲れ」ではなさそうだ。名前に「朝獲れ」という文字が入っていないし、ネタが固定されている模様。他の「朝獲れ」系のお寿司は、時間が経過するたびにホワイトボードに記載されているネタ名を書き換えていっているが、このばんや寿司は変更無しなわけだ。
値段のうち、伊勢エビが占める割合が相当高そうな気がする。伊勢エビ好きで無い限り、頼む必然性は薄いと思うが、どうなんだろう。
我が道を行く我々は、2,480円のお寿司には目もくれず朝獲れ850寿司をオーダーだ。
今回のネタは、ワラサ、金目、アジ、穴子、皮ハギの組み合わせだった。
皮ハギは、ネタの上にちょこんとキモが載せられているのが嬉しい。
メニューボードを見るたびに、毎度「どれを頼めばいいのやら」と悩む。いや、悩むというより、呆然としてしまう。あれこれ有りすぎて、候補を絞り込むだけでも一苦労で、結局ぼーっとしてしまうのだ。
しかし、この日、特に目を惹いたのが「アサリフライ(650円)」という文字。一緒に来ていた連れに
「おい、アサリフライって食べたことある?」
と聞いてみた。少なくとも、おかでんは見たことも聞いたこともない。
「いえ、ないですね。ありそうでないメニューですね」
という回答だったので、やはり一般的には見慣れないメニューなのだろう。早速注文してみる。
出てきたものは・・・うわ、相変わらずのばんやボリューム。一体どれだけのあさりの身を使ってるんだろう。二人で食べるには明らかにオーバーボリューム。でも、この豪快な盛りが、嬉しい。残さず食べないと。
恐らく、今後ばんやでは「食べきれない量を注文してしまって、残す」お客さんが増えていくだろう。その結果、お店側が「盛りが豪快すぎたかな?もう少し減らすか・・・」と考え、ごくごく普通の定食屋の盛りっぷりに成り下がってしまう可能性がある。これは非常に残念な事なので、是非阻止しなければならない。ばんやにこれから行こうと思っている諸君、くれぐれも食べ残しはヤメよう。
さて、あさりフライを食べてみる。カリカリとした食感と、香ばしい香りが食欲を増進させる。味は・・・ええと、なんて形容すればいいのかな。
「牡蠣フライのクセを取った、って感じの味?」
ああ、そうそう。まさにそんな感じだ。カキフライが盛っている、磯臭い感じがすっぱり抜けた感じ。これなら、「カキフライは苦手だけど、いずれ食べられるようになりたい」と思っている努力家の方にもお勧めできる。
カキフライと対比すると、物足りない料理と言えるけど、あくまでもこの料理はアサリフライ。非常に美味しく頂きました。何故このメニューが世の中一般にあまり出回っていないのか、不思議だ。
刺身盛り合わせ(1,260円)。
金目、ワラサ、太刀魚、サワラ、アジ。
当然といえば当然なのだが、850寿司とネタの大半がかぶった。やっぱり、朝獲れ寿司を食べるなら刺身盛り合わせは頼んじゃダメだ。
太刀魚の刺身を食べたのは初めて。塩焼きが一般的な食べ方なので、感慨深い。
そういえば、サワラも普通は塩焼きで食卓に上るので、お刺身って殆ど記憶にないな。
いつもは、下に敷いてある刺身のツマも美味しく頂く性分なのだが、なにせここはばんやだ、ツマでお腹を一杯にするくらいなら、お魚を追加注文してお腹一杯になった方がいい。
つみれ汁(210円)。
ごろん、ごろんとつみれ団子が5個。あと、大根。シンプルなすまし汁だ。
大きめなつみれにかぶりつくと、青魚の甘み、苦み、渋み、うま味が口の中に広がる。そして、おつゆをずずずっと。うん、至福の時だ。
しかし、他の料理を食べるのに夢中で、しばらく放置していたら冷めてしまった。冷めたつみれ汁は、がくんと味が落ちた。やはり料理は温かいウチに食べなくては。
白目塩焼き(1,050円)。
白目、とは一体なんだ、という議論がメニュー選定時にあった。
「聞いたこと有る?」「いや、ないです」
二人とも知らなかった。恐らく、白い目をしている魚なのだろうけど
ちょっと待った。魚に白目なんてあるのかよ。魚は黒目だけだ。気持ち悪いわ、海の中で白目ひんむいている魚がいたら。
恐らく、火で調理すると目が真っ白になるから「白目」なのだろう。調理後の様を名前にしているというのは珍しい。
で?この魚は一体何?
メバルのような大きな目をしていて、確かに目が白目だ。恐らく、白目というのは房総半島あたりの通称名だと思うので、正式な名称は別にある筈なのだけど・・・。店員さんに聞けばよかった。家に帰ってwebで調べてみたが、全く情報がなかった。
皮ハギ汁310円。
何故か醤油に葱が浮かんだ小皿がついてきたが、これをどうしろというのだろうか。アラをしょうゆにつけてみたりしたが、どうやってもしっくりこなかった。何かの間違いだったのだろうか。
お汁の味はもう、ばっちり。
何故、「あら汁の素」というのがインスタント食品で売られていないのか、不思議だ。
「何か煮物が食べたいね」という話になって、金目姿煮を注文してみた。「半身」とメニューボードには書かれている。1,570円。結構なお値段だ。
伊豆稲取あたりで、金目鯛の開きを買うと1匹200円程度で小降りな奴になる。おかでんは、金目鯛といえばそういう「小降りな」イメージで見てきたので、いざ1,570円もする「金目の旦那」は一体どんな体躯をしているのか興味深かった。
出てきたのはこれ。さすがにデカい。思わず、この大皿を相方に持たせて、記念撮影をしてしまったくらいだ。何だか、有り難い気持ちになるデカさだ。でも、金目鯛ってこういう魚なんだよな。「小さくて1匹200円そこいら」で買える方が間違い。
記念撮影の写真で、他の比較対象物との対比で大きさを分かって貰いたいところだが、相方の顔を出すのもアレなのでやめておく。
箸でつまむと、「ごっぽり」という擬音がふさわしいくらい、身がほぐれる。いいねぇ。ほっけの塩焼きも身離れがよくて食べてて楽しいが、この金目鯛だって負けてはいないぞ。調子にのって、大降りな・・・親指ほどのサイズはあろうかという・・・身をぱくぱく食べていたら、大きいはずのお魚があっという間に無くなってしまった。大変おいしゅうございました。ちょっと割高なお金を払うだけの価値はあるボリュームと味わい。拍手。
金目鯛のような、「ちょっとよそ行きのお魚」もいいんだけど、おかでんとしては「秋と言えばサバ」が食べたかった。多分、おかでんの好物10傑の中で、「サバの塩焼き」がランクインするだろうくらい、サバが好きだ。
しかし、前述の通り、何故かばんやではサバの取り扱いが殆ど・・・1メニューを除いて存在しなかった。その1メニューが、これ。サバ漬け寿司。
1カン110円で、5カンが350円という価格設定になっている。えらいボリュームディスカウントだ。5カンだと、1カンあたりの単価が半額以下に値下がりしとるぞ。何かの書き間違えかと思ったが、実際に350円で提供していた。
ところで、サバのお寿司といえば圧倒的に「締め鯖」が一般的だ。時々、寿司屋で種子島の首折れサバだの、関サバだのを使った生の寿司が出ることがあるが、普通は酢で締めてある。アニサキス対策だ。で、今回のお寿司は「づけ」だという。ほほぅ?「づけ」という食べ方はマグロでは一般的だけど、サバでは聞いたことがないぞ。
「一体どんなものがでてくるのか?」という想像すらできないまま、待っているとやってまいりましたサバ漬け寿司。
まずは、レイアウトに笑ってしまう。シャリが、ぽつん、ぽつんとお皿の上に乗っている。5カンにしては皿がでかすぎて、なんだか殺風景だ。いや、殺風景なのは皿の大きさのせいじゃない。ネタが乗ってないぞ、これ。うわ、寒そう。
その肝心のネタは、隣の小鉢でまさに「漬け」られていた。なるほど、食べる直前に自分で乗っけて食べろというわけか。
それにしても、ずいぶんとサバが分厚いぞ?シャリとサイズがあってない気がするぞ?
乗っけてみる。何とか乗っかるが、バランスが悪い。相当な頭でっかちだ。
食べてみる。もがもが。
生のサバを食べる機会が少ないせいもあり、なんだか未体験ゾーンに突入したって感じがする。口いっぱいに広がるサバのまろやかな身。「もがもが」という表現がぴったりくる感じで、口の中で咀嚼する。
おかでんも、相方も、不思議な顔をしている。美味いんだけど、なんだかヘンな感じだ。何がヘンなのか、よくわからない。
「ええと。サバの身が結構もったりするね」
と形容するが、それだけが違和感を形成しているわけではないようだ。しばらく考えて、「あー、たれが甘いんだな。相当甘い。穴子のツメみたいに甘いぞ」ということに気がついた。甘いサバ、しかも刺身で食べたことが無かったので、相当な違和感を覚えたようだ。でも、これが結構美味いんだな。ちょっとくどい寿司だが、珍しい事もあって是非お勧めしたいメニューの一つだ。それにしても5カン350円って安いよなあ・・1カン70円か。
最後、相方は食べ残していた朝獲れ850寿司と白目を持ち帰るため、パックを店員さんに注文した。すると、「生もののお持ち帰りはできないんですよ」と言ってきた。あれっ、以前訪れた時からルールが変わってる?
まあ、確かにそうだ。お刺身とか持ち帰られて、食中毒でも起こされた日にゃ、悪くもないばんやに火の粉が降りかかってくる。生もの持ち帰り阻止、ってのは店側としてはわからんでもない。でも、このルールが「春夏秋のみ」なのか、「春夏秋冬、いつでも生もの持ち帰りはダメ」なのかは分からない。
良かった、今回は「お持ち帰り前提で料理を注文」してなくて。もしそんなことをやっていたら、食べきれない料理を前に「ええ・・・?これを全部、持ち帰っちゃダメなのぉ?・・・食べて帰るしかないよな・・・ええぇぇ」って嘆息することになっただろう。
ばんやの楽しさは、現地でのみ味わいなさいって事か。ま、それはそれで「また行こう」という気持ちにさせられるから、いいけど。
今度は、ばんや併設の宿泊施設に一泊して、3食魚尽くしってのをやってみたい。遠くない将来、是非。
(2004.10.22)