ホーム >胃袋至上主義宣言[連載] > 保田漁港・ばんやの魅力[魚まみれお泊まりオフ-3]
2005年08月29日(月曜日)
夜が明けた。すかっと晴れた青空がまぶしい。
朝だーと窓を全開にしてみたが、景色は相変わらずあんまりよろしくはない。
ただ、遠くの方で漁船が岸壁に横付けになり、なにやら荷揚げを行っていた。保田漁港は今日も大漁か。あそこで捕れた魚が朝の食卓に上るのだろうか?・・・いや、ちょっと時間的に無理っぽいな。
朝8時から朝食だというので、7時には起きだして朝風呂を楽しんだ。朝7時だというのに、もう既に外来のお客さんが何組も。一体どうなってるんだ、ここは。感心するやら、呆れるやら。
なにやらたくましい海の男みたいな人が何人もいたので、ひょっとしたら早朝操業を終え、ばんやの湯でリラックスしてるのかもしれない。漁協直営の施設なので、漁業関係者だったら無料かもしれないし。そう考えれば、この朝からの混雑っぷりには納得がいく。
朝8時、全員が揃ったところで宴会場に行く。昨日と同じ席に・・・あったぞ。何事も無かったかのように、昨晩同様の舟盛りが。
「あは、あははははは」
やっぱり、笑えてくる。何だか、非常に面白い。夕食に舟盛りが出てくるのはまだ「ちょっと贅沢しちゃった」という感じであり珍しくはないが、朝に舟盛りってのは見たことも聞いたこともないぞ。普通の旅館じゃ、「朝から舟盛りを食べたいんだけど」って注文したって絶対に受けてくれないと思う。
それにしても、夕食の時よりも皿数、増えてるんですけど。宿の人たち、ますます気合いを入れたなさては?
朝食のお皿の数々。
いわしの煮付け(3匹)、あじの開き、漬け鯖(3切れ)、シャリ(3カン)、ご飯、みそ汁、納豆、玉子、海苔、香の物。以上。
シャリは、漬け鯖を載せるためにある(と思われる)。機械で作ったシャリだと言うことがよく分かる、角張った形をしている。なるほど、こうやってシャリだけをまじまじと見る機会は滅多にないので、人間様が握るシャリとはこうも違うのか、と感心する。
いや、感心してる場合じゃないって。
昨晩の「炭水化物不足」状態から一変して、今日はシャリの他に白米まであるのであった。この宿、緩急の付け方がすごい。「どうだ、ご飯もっと食えぇぇぇ」と言われているような感じ。海苔、玉子、納豆と「ご飯の友御三家」が揃ってるし、おかずは多いし、一体何杯ご飯を食えと言うのか?
おっと忘れちゃいけない、これだけじゃないんだよな。舟盛りがあるんですよ、舟盛りぃ。
今回は、各自におかず2品(漬け鯖入れると3品)あって、それに加えて全員に一つの舟盛り。これでご飯を食え、というわけだ。全てのおかずが、問答無用でお魚。魚以外はあり得ない、という王道直球勝負。いいなあ、この猪突猛進っぷり。
「舟盛り、昨晩よりも豪華になったんじゃない?」
というささやきが聞こえる。うむ、確かにそんな気がする。昨日は金目鯛が一匹飾られている以外は、切り身が整然と並べられている状態だった。配置もゆったりとしていて、舟盛りの底を見ることができた。しかし、今日はどうだ。お頭つきでお魚がてんこもり。もうね、底が全く見えなーい。ツマさえ、ほとんど見えないくらいびっしりと刺身が盛りつけられている!これは明らかに宿からの挑戦状だ。くっそう、常に我々の想像の上を行くなぁ、ばんや。
普通、朝はあまり食が進まないから、量を減らすもんだろ?それが、何でか夕食よりもボリュームが多くなっとる。「板長が今日は朝から機嫌がよくって、ついつい盛りすぎちゃいました」という理由なんだろうか?
唖然としながら、今朝も「ケーキカット状態」で写真撮影。本日のお魚は、鯛を中心としてワカシ、鰺、イカ、イナダ、カマスだった。
「どうだい?だいぶおみまいされてきたんじゃないの?」
「うーん」
昨日に増して、箸が進まない一行だった。
しかし、僕は逆に食べやすいことこの上なし。ビールが傍らにないということもあって、箸が進むったらありゃしない。
「新発見だよ。お刺身って、単品だったらあまり食べられないもんだけど、ご飯があると結構ぐいぐいと食べられるんだな」
興奮気味に語るおかでん。お刺身をつまんで、醤油に浸して、ご飯にちょいと載せてぱくっ。ご飯も時間差でぱくっ。うん、美味しい。刺身単体で食べるよりも1.2倍くらい美味しく感じる。これは意外だった。
「確かにねえ、会席料理や旅館の料理で出てくるお造り、あの程度がお刺身って一番適量なんだよな。美味しいお刺身がちょっと食べられればそれでいいもんなんだよ、人間って」
さりげない新発見であった。
朝食は、各部屋ともに宴会場食となっていた。他部屋の舟盛りの様子もチラ見してみたが、やはり6人前舟盛りの圧倒的な物量作戦の前においては、赤子も同然だった。このインパクトを楽しむなら、6人で訪れるのが一番良さそうだ。8人になると、おそらく4人前の舟盛りが2艘登場するに違いない。
「・・・ご飯、足りなくなっちゃった」
一向に減らない舟盛りと格闘しつつ、時折サイドチェンジで海苔や玉子でご飯を食べていたら、おひつからご飯が無くなってしまった。
「すいませーん、ご飯お代わりお願いします」
従業員さんを呼ぶ。
「どれくらいの量にしますか?」 「え?あ、そうですね、おひつ半分くらいでお願いします」
・・・しばらくして届けられたおひつは、「半分」どころか「おひつ一杯」のご飯が詰め込まれていた。
「あいつだ!あの人が僕らに挑戦状を突きつけている張本人だ!」
おひつの蓋を手にしたまま、思わず叫んでしまった。このどこが「半分」なんだよ。量を聞いておいて、目一杯ご飯を詰め込んでくるっていうことは、こりゃもうタタカイを挑んできているに他ならない。
「くっそう、おそらくあの人たち、『食べきれないくらいの料理を提供する』ことに生き甲斐を感じてるな?負けてられないぞぅ、相手がそうくるなら、僕らだってこのご飯を全部平らげてやらないと」
「あ、いやワタシはもうお代わりしないデスヨ?おかでんさん、あと残りは全部食べてください」 「えっ?」
孤立無援状態。
結局、お店の挑戦に屈し、おひつのご飯は半分近く残った状態でフィニッシュとなった。最後、猛烈に刺身スパートをかけ、舟盛りの上は空になったのでとりあえず良しとしよう。うー、それにしても、1年分くらいのお刺身を食べた気分。
「お刺身を食べるために、ご飯食べすぎた。海苔も玉子も納豆もいらねーよ、あれだけおかずがあったら」
お腹をさすりながら、部屋へと引き返す。
「ついでに言うと、何だか塩分採りすぎた気が。お刺身をあれだけ食べると、消費する醤油の量だってばかにならないもんな。ましてや、白米が傍らにあると、ついついお刺身を醤油にどっぷりつけて食べてしまう」
急にカロリーと塩分を気にし出す、でも無茶してナンボな食べっぷりなおかでんであった。
10時にチェックアウトした我々は、このあとマザー牧場に行くことにした。マザー牧場は房総半島の丘陵地帯に広がる広大な敷地を利用した観光牧場で、いろいろなショーやアトラクションがある。子供から大人まで楽しめる場所になっているらしい。
ここの名物はなんといってもジンギスカン。まさか、飼育されている羊をそのまま精肉しているとは思えないが、マザー牧場といえばジンギスカンといっても過言ではないくらい有名だ。
「ばんやオフ」、最後の仕上げはこの地でジンギスカンを食べることになっていた。これまで三食、魚尽くしだったわけであり、ここで精進落としじゃないけど、魚落としで肉を食べようというわけだ。
入場料1,500円はちと高いが、中に入ってみてびっくり。いやぁ、こりゃ楽しいわ。1,500円を払う価値、大あり!
特に秀逸なのは、大きなホールで開催されている動物ショー。十数種類の羊を並べてみたり、羊飼いが牧羊犬を犬笛で自由自在にコントロールしてみたり、羊の毛を刈ってみたり。拍手、拍手の大盛り上がりだった。
ショーは数種類あって、一日何回か開催されている。必見。
施設内にはいろいろな動物がいる。こちらは山羊の小屋。子山羊が純白でとても可愛い。けなげな動作が非常に愛くるしい。
おっといかん、あくまでも「ばんやオフ」の報告だった。マザー牧場のすばらしさを伝え始めるときりがないので、ちょっと早送り。
さてこのマザー牧場、ジンギスカンが名物だということは先ほど書いた通りだが、実際にこの牧場の敷地内には3カ所のジンギスカンレストランが設置されていた。
そのおかげで、あたりはジンギスカンのにおいが立ちこめている。
「うわー、食欲がそそられる・・・はずなんだけど、お腹が空かないんだよなあ」
一同朝ご飯がまだ胃袋の中に残っていて、お昼時だというのに全くお腹が空いていなかった。
「うーん、恐るべしお魚!」
思わず唸る。肉のにおいを嗅げば、きっと「肉!肉食べたい!もうお魚はイヤダ!」という気持ちになると思ったのだが、そうはならなかった。これは予想外だ。お腹一杯のお魚が、空腹感を阻害しているのだから当然だ。
ジンギスカンレストランの中はこんな感じで、とても広い。屋外の芝生でも食べることができる。
今日は平日ということもあって、お客の数はそれほど多くなかった。
これだけの規模のジンギスカンレストランが合計3つもあるのだから、すごい。
看板には、「今、話題のジンギスカン!!羊肉はとってもヘルシーその訳はカルニチンがたっぷり!!」と書いてあった。今、巷ではジンギスカンがブームだ。このブームに、おそらくマザー牧場は鼻息が荒いことだろう。
気になるお値段は・・・うーん、ちょっと高いな。
羊肉は駄目ー、食べられないという人だっているし、気分的に今日はジンギスカンを食べたく無いなあという人もいる。
そんな人のために、普通のレストランも用意されていた。
しあkし、何だかひっそりとした感じ。やっぱり、マザー牧場に来たらジンギスカン食え、ということか。
昼下がり、14時頃になってようやく我々はお昼ご飯を食べることにした。まだ一部の女性参加者からは「お腹が空かない」という声が挙がっていたが、そろそろ帰宅も考えなければならない時間。少量でもいいから食べようではないか。
我々はホールの近くにあるジンギスカンレストランを選んだ。ここは、丘の上から見下ろす形でジンギスカンを楽しめる場所だ。
写真のメニューボードは別のお店のものだけど、参考として掲載しときます。(写真をクリックすると拡大します)
入ったところはこんな感じ。
確かに絶景だ!千葉県は、一番高い山でも400mすらないような丘陵地帯の国だ。だから、一度山の上に登ってしまえば、視界を妨げるような高い山が存在しない。おかげでぐぐぐーっと見渡すことができる、絶景の国だ。
ここが半島であるとはおもえないくらい、周りは山、山、山。そして、民家すら見えない。意外だった、千葉にこんな場所があるとは。
ただ、当然テラス側にお客さんは固まるので、よほど運が良くないと「がぶりつき」の席でこの絶景を楽しむことはできない。我々は、ちょっとテラスから離れたところに陣取った。
さあて、選ぶぞぅ。
このレストランの場合、ビュッフェ形式で好きな料理を取る仕組みになっていた。あれこれ取って、レジでお会計。
えーと、どれにしようかな。

シーフードなど。

こちらは肉類。ラム肉150gで850円、上ラム肉150g1,050円なり。
野菜なども追加し、さあ焼くぞと。
ビールも忘れずに購入。あんまり飲みたい気分ではないのだが、やっぱり焼くからにはビールは必須でしょう。
ビール飲みは、メニューを見たときに即座に頭の中で計算を始める。それは、「瓶ビールが得か、生ビールが得か」というものだ。生ビールは瓶よりも高い値段設定になっているので、自分の「今の気分」と照らし合わせてあれこれ考える。今日はぷはぁと気持ちよく飲みたいなあ、という時は生ビール、いやいや、今日は量を飲みたいぞ、という時は瓶ビール。
今日は瓶ビールにした。「量を飲みたい」のではなく、これ一本で終わらせるぞという気持ちを込めて、だ。
ビールを飲むのはakeさんとおかでんの二人だけだったので、用意した紙コップを片づけて二人で瓶ごとラッパ飲み。
「スタイニーボトルだよ、スタイニー」
と開き直る。いやー、屋外でラッパ飲みっていうのは結構幸せだなあ。
「akeさん!akeさん!店員さんがさっきからこっちの方を変な顔して見てますよ!」
という忠告があったが、akeさんは
「構やしないよ、これスタイニーなんだから。ビールの正しい飲み方なんだから」
と平気。
「そうだそうだ、僕ら何も変な事はしてないぞ」
横から無責任に賛同するおかでん。屋外でバーベキューって楽しいなあ。
肉を焼くサングラス男。
うん、魚もいいけど、肉もいいよなあ。
肉って、なんて言うかな・・・ストレートに脳みそにがつんとくる美味さがあるよね。油がそうさせるんだろうか。

アヒルの大行進。
じゃあ、僕たちもそろそろアヒルさんたちのように帰るとしますか。この1日半、ひたすら食べて、食べての繰り返しだった。まさに喰い地獄!な有様。帰る前に、参加者に聞いてみた。お魚、どうですか?と。すると、全員、口を揃えて「もうしばらく魚は食べたくない」という回答が返ってきた。
企画大成功!
狙った通りの結果となった。いやしかし、ホントにしばらくお魚はいいです。
・・・この「お魚はしばらく食べたくない」というのは、脳が受け付けないというのもあるのだが、スーパーで売られているお刺身がちゃんちゃらおかしくて買う気になれない、という理由もある。ばんやと比べると、鮮度が悪くて値段が高い。ま、そりゃ当然なのだが、あれだけのお魚を見せつけられてしまうと、ホントしばらくはスーパーでお魚を買う気力が失せる。
次は秋が深まってきた頃、改めて日帰りばんやだろうな。ホント、ごちそうさまでした。
(2005.09.24)