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第008頁 恐怖の甘口抹茶小倉スパ

ゲテモノ・際物挑戦記

何時行ったのか分からない。恐らくは平成4,5年の頃だったと思う。

名古屋に遊びに行った時、Hらに連れられて マウンテンという喫茶店に連れて行かれた。何でもゲテモノスパゲティーで有名らしい。当時からゲテモノ好きだった自分としては、受けて立つしか無い。とりあえず店に入った。

注文はHがした。大食いのOには鍋スパ、甘党の自分には甘口抹茶小倉スパ。Oの鍋スパに比べて、かなり毒々しい名前に少したじろぐが、全部食べ切ったらおごってくれるらしい。これは何としても勝たなければならない。

注文された物が来る。

鍋スパは、風呂桶ほどの土鍋に釜揚げうどんのごとく大量のスパゲティが湯に浸かており、これを醤油ベースのつけ汁で食うらしい。

一方の甘口抹茶小倉スパのほうは、グリーンティ粉末を絡めて緑色に染まったスパゲティーに、ミートソースのごとく小倉餡がのっかり、その上に生クリームのデコレーション、またさらにその上にはチェリーまでのっけてある。まさに甘さの多重攻撃である。その異様さに驚きながらも、しかし生クリームも小倉餡も抹茶も、すべてこよなく愛する身としては、まったく拒む理由が無い。これは楽勝かな、とおもむろにフォークをつけた。

…甘い。

あまりにも甘すぎるのである。スパゲティに絡めてあるのが普通の抹茶なら、ここまで甘くはならなかっただろう。しかしグリーンティがかかっている為、スパゲティ・小倉餡・生クリームが甘さの十字砲火を奏で、一口くちにするたびに、瞬間的に虫歯になりそうなほどの高糖度を舌の味覚点は感じ取った。

おまけに温かかった。甘すぎても冷たければ、デザートとしてそれなりに食えたかもしれない。しかし茹でたてのスパベティ―はほかほかと湯気をたてている。その温かさが甘さをより一層酷いものにした。

5口目までは何とか口にした。しかしそれ以上はもう体が受付けようとはしなかった。気力を振り絞ってもう3口ほどと、生クリームを全部食べたところで食べるのを諦めた。完全な敗北である。

こちらが甘味地獄を味わっている横で、もう一人地獄を突き進んでいる男がいた。幾ら食べても量の減る気配を見せない鍋。食べれば食べるほど薄くなるつけ汁と、湯を吸ってどんどん伸びて行くスパゲティ。顔からは汗が噴出し、必死に鍋と格闘するOは修羅のような姿だった。そしてこちらは食い切った。

鍋スパを制覇して真の漢となったOと、小倉スパの甘味に完膚なきまでに叩きのめされた自分とは対照的だった。そもそも味わってはいけなかったのだ。味覚が麻痺する前に一気に食ってしまわなければならなかったのだ。食ったからといってどういうわけも無いと言う気もするが、それは気のせいだろう。いつかまたマウンテンにいく機会があったら、リベンジをしてやろうと心に固く誓ったのだった。

と、この文章を書くために、参考にWebで検索をかけていたら、新メニューに「汁粉スパ」というものが載っていた。これだったらいけるかもしれない。

今度マウンテンに行く機会があったら、この汁粉スパに挑戦してみようと思う。

(ばばろあ)

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