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神田まつや(東京都千代田区神田須田町)

2000年01月15日【店舗数:008】【そば食:011】

焼き鳥、小田巻き蒸し、もり、かき揚げ丼、熱燗

 やぶそばで食べたそばがまだ胃袋の中でとぐろを巻く前に、すでにそば屋二軒目の行列にならんでいるおかでんであった。そば喰い人種たるもの、そば食後のデザートはやっぱりそば、ってことくらいオフコースなのである。折角神田まで足を運んだのだから、ここで見聞を広めないと。それ二軒目だ。

 ということで突撃対象となったお店は、「神田まつや」。先ほどのやぶそばからは徒歩2分程度の距離で、そば食べ歩きをするにはもってこいな距離だ。

 このまつや、最近になって有名な老舗そば屋だという事を知った。なにしろ、それまでは「何か古くさくて狭そうなそば屋」という印象しかなかったくらい、全然その存在を認識していなかった。秋葉原から自宅に帰るときは、大体営団地下鉄淡路町駅を使うので、このまつやの横を通る。そのたびに、店の前に行列をなしている人を目にしてきたのだが、「なんでやぶそばに行かないでこんなお店に並んでるんだろう、あほな奴らだ」と小馬鹿にしてました。・・・無知とは恐ろしいもんです、ごめんなさいごめんなさい。

 さて、「小馬鹿」にしていた行列に自らを投じてみる。お昼3時頃だというのに、何でこんなに混んでいるのか全く理解できない。そば屋だからすぐに順番はくるだろうと高をくくっていたのだが、結局入店するまで20分近くかかってしまった。よっぽど、道路を挟んで向かい側にある「牛めしの松屋」に宗旨替えしそうになったくらいだ。

 入店してみて、何故にこんなに待たされたのか合点がいった。わーわーというえらく活気のある声。・・・みんな酒を飲んでいるのだ。ここは居酒屋かぁ?観察してみると、酒飲んでる人とそばだけ食べている人の比率が、7:3程度といったところか。これじゃ、行列はなかなかさばけないよなあ。それにしても、行列作ってお酒飲むなんて初めての体験だ。

 店内は、8人掛けのテーブル席が10ほどあったので、80名ほど座れるといったところか。とにかく狭いところに席を押し込んであるので、むやみに身動きするのは危険である。あと、ここでは相席が当たり前になっているので、机を挟んで真向かいに見知らぬ人を見据えつつ、お食事をしなければならない。これは正直いやだ。手を伸ばせばびんたできるくらいの距離で、赤の他人と食事をするなんて事はあまりないから、免疫がないのだ。同じ距離でもカウンター席みたいに横だったら、少々近くても我慢できるんだけど。

 さて、すでに一軒目のやぶそばでさんざん食べて飲んだというのに、酔った勢いでここでも注文してしまった。正直、「してしまった」という言葉がぴったりだ。このお店の名物と聞いている焼き鳥、あとやぶそばのメニューで初めて発見して「何じゃこの料理は」と気になっていたが注文しなかった小田巻き蒸し、そして忘れちゃいけない、お酒。とりあえずこれだけ注文。

 焼き鳥は、さすが名物だけあって「うはあ、美味しいなあ」と首を右下斜め45度に傾けて恍惚の世界へとろけてしまう味。お酒を飲め、と首根っこ捕まれて強要されている気になるくらい、是非お酒を飲みたくなる味だった。これは拍手拍手。

 さて問題の小田巻き蒸し。おかでん26年の人生で全く認識をしていなかった料理だったが、ごぼうみたいな野菜を湯葉でくるんで蒸したものかな、なんて勝手に想像していた。

 出てきたのは・・・ありゃ、茶碗蒸しじゃないか。何が小田なんだか何をどう巻いているんだか、さっぱりわかりゃしない。「これはきっと、寿司屋でお茶の事を『あがり』って言うのと同じ隠語ではないか」と推測したが、それにしてはこのお店のメニューには「茶碗蒸し」ってのが別にある。うーむ。

 わからんわからんを連発しながらぐじゅぐじゅと茶碗蒸しを食べていたら、お椀の底からうどんがとぐろを巻いて出てきた。こ、これが小田巻き蒸しっすか先生!と同席していた友達と大はしゃぎ。なるほど、勉強になるなあ。

 さて、肝心のそばだけど、酔っぱらっていたので写真を撮り忘れた。このころ、いくら飲んでもなくならないお酒に業を煮やし、お銚子ごとラッパ飲みしていたくらいで。そば屋にあるまじき醜態ですな、これは。

 ただ、そばにはめんくらった。そばの角がびち、びちっと口の中で主張するのだ。なんてしっかりしたそばなんだろう。単に硬め茹でたのではなく、そばそのもののコシの強さがもたらす存在感。これはのどを通り過ぎるまでずっと続く。ああ、なんかそばにマッサージされているような気分。これはおいしい。こういうそばを食べると、「そばは食べるものじゃない、すするもんだ」っていうのがわかるような気がする。

 ・・・と、ここで本来ならそば湯を飲んでおしまいの筈なんだけど、「そういえばこのお店はかき揚げ丼も美味しいって聞いたことがあるな」なんて話になってしまい、ついつい追加でかき揚げ丼。大食い選手権状態になってしまった。そば屋で小粋に食事、なんて言葉は今日に限って言えば完全に放棄。美味しいそば屋を梯子すると、ついつい厚顔無恥になってしまうらしい。

 さてこのかき揚げ、芝えび4匹が仲良く一列に並び、いかだ状に揚げられていた。「おっ、これがかき揚げか」と油断して箸をつけると、その下からいかをさいころ状にしたものが出てくる。いか+えびの組み合わせでのかき揚げたぁ贅沢だ。普通、かき揚げっていったらタマネギタマネギ小麦粉小麦粉、ってなものだとばかり思っていたのに。お腹一杯、肝臓一杯になるまで飲み食いしていたのに、かき揚げは別腹とばかりにもりもりと食べてしまった。ああ、至福の時。

 この後友人と秋葉原に繰り出したんだけど、土曜日夕刻でごった返す秋葉原の町は酔っ払いには迷路以外の何物でもございませんでした。あっけなくはぐれてしまい、ばらばらに帰宅する羽目になってしまった。

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