ホーム > 蕎麦喰い人種行動観察 > 釆女町長寿庵
「いけたに」で不完全燃焼してしまい、もやもやしていたので同じく銀座にある「浅野屋」で仕切直しをすることにした。しかし、定休日だったのかお店は開いていなかった。うむむ、これではスカっとしないではないか。そばは、ずずずっとすするその食べ方からも、スカっとさわやかでなくてはイカン。そばを食べてもやもやしていたのでは、そばに申し訳がない。
と、銀座の街中で途方に暮れていたら、通りの対岸に「長寿庵」の文字が。ああ、あんなところにそば屋があるじゃないか。ここで会ったのも何かの縁、旨いか不味いかは分からぬがとりあえず入ってみるぞ、と。何となく、がっちりとした外観のお店だしそばだってコダワリの一品が出てくるかもしれぬ。
のれんをくぐって僅か1秒。
あれ。
中は、外見とは大違いで町の食堂っぽい造りだった。しかも、お店の人の顔つき、そしてそこで食事をしている人の出で立ち。これは、「コダワリのそば」を出すお店ではない。いわゆる、「住宅地の片隅にある、気楽にそばをすするお店」の雰囲気だ。油断していた、銀座にもこういう庶民的なお店があったとは。
お客は、店に配備されていたと思われるスポーツ新聞を広げながら食事をしている。うむ、そば屋にスポーツ新聞って今まで行ったお店では見たことが無かった光景だな。
まあ、おとなしくもりそばを頂くことにした。このお店、もりそばは510円と非常に庶民的な価格なのに、何故かカツ丼が1,020円、鍋焼きうどんに至っては1,630円と加速度的に値段が高くなる。ここはもりそばで勘弁してください。
オーダーを終え、「まあ、お手並み拝見」と、椅子に腰掛けなおしたところで「はい盛りそばですー」。ごとん、と目の前にせいろが置かれた。げっ、まだオーダーから10秒しか経っていないんですけど・・・。「あじさい」よりも、「小諸そば」よりも、どんな立ち食いそば屋よりも早いオペレーションに目を白黒。きっと、宇宙一早く盛りそばを提供する店に違いない。知らなかった、こんな銀座の片隅に超絶オペレーションが潜んでいたなんて。しみじみと、密かに感動してしまった。
味?いや、いきなりわさびと薬味をばさばさ投入して食べたので、何ともはや。
10秒で出されたそばなので、こっちも負けられない!と、1分足らずですすりあげ、510円をオッチャンに支払って力強く「ごちそうさま!」
いやぁ、そば喰い人種をやってると、いろいろなお店に出会うもんだ。これでまた経験値が上がった。
(後日談)
「釆女町」と書いて、「うねめちょう」と読むそうだ。昔、この店があったあたりのことを「釆女町」と呼称していたらしい。