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そばまつりとよひら2009(広島県山県郡北広島町)

2009年11月15日【店舗数:---】【そば食:438】

もりそば

<その1>

豊平でもそばまつりがある週末、しばらくぶりに実家に顔を出したら、父親が「紅葉を見に行こう」と言う。広島県の奥、今話題の臥竜山からそれほど遠くないところに「温井ダム」というところがあり、そこが紅葉が奇麗なのだという。異存はない、両親と揃ってお出かけすることにした。

その際、母親が「この時期、豊平でそば祭りがあるはずだけど」といっていたのが気になった。webで調べてみたが、よくわからない。この手のイベントは、主催者側のPR不足もあってwebで情報収集ができない事が多々あるので、特に珍しい事ではない。ただ、念のために、と「達磨」のサイトに行って、高橋名人御一行様の11月のスケジュールを確認してみたら・・・ああ、ちょうどこの週末、確かに豊平のそば祭りに出店していることが判明。では、温井ダムに行きがてら、お昼ご飯は豊平で食べることにしよう、と家族会議の上決定となった。

おかでん自身は、己の蕎麦好きを親に押しつける気はないし、お奨めする気さえない。だから、親から「じゃあ豊平でお昼」と言い出さない限りは、行くつもりはなかった。蕎麦通ぶっている奴が鼻持ちならんのは自分自身よく理解しているので、こういうところでは一歩引いておくのが処世術ですよ。

場所すらよくわからんかったのだが、あのあたりでイベントやろうとすれば道の駅どんぐり村がある場所しかありえんので、適当に車をそちらに走らせた。すると、やあ、会場手前で車が渋滞しだしたぞ。田舎道とは思えない光景だ。

のろのろ運転しながら、気がついた事ひとつ。このイベント、「そばまつりとよひら2009」という名前なのだな。元々、「そば」は「蕎麦」という言葉も頻繁に使われ、検索しづらい言葉だ。加えて、「まつり」は「祭り」とも書くし、しまいにはこのイベント、「豊平」という漢字の地名をご丁寧にひらがなにしている。道理で、webで検索してもみつからんわけだ。せめて告知用のwebサイトくらいは、検索しやすい言葉にしたほうが良いと思うデスよ。


駐車場は満車道の駅周辺はお金かけまくりな体育館(アリーナ、と呼んでも差し支えない)をはじめ、巨大な野球場など、贅沢の極みで敷地が広い。その空き地を利用し、そばまつり用の臨時駐車場をこしらえていたのだが、兎にも角にも車だらけ。いやまあ、公共交通機関でここを訪れるのは非常に難しいので、必然的に全員車になるわけだが・・・それにしても、車、多すぎ。これから輸出されようとして、岸壁に待機する車を思い出したくらいだ。

我々は昼前の到着だったため、会場の隅っこの方にようやく車を停める事ができた。1,000台近くは来場していたのではないか?豊平という地の利を考えると、相当な集客力だ。


そばまつりパンフ1 そばまつりパンフ2

会場入口で、チラシをもらう。わら半紙にモノクロ印刷、という、小学校の時授業で配布された教材を連想させるもので、懐かしい。今時、まだわら半紙ってあったんだ。

これを見ると、蕎麦ブースが集まっている「そば処 おおごっつぉう広場」と、ステージを中心に馬蹄形に屋台が展開されている「イベント広場」の二箇所がメイン会場となっているようだ。

開催期間は11月14日〜15日の土日二日間だけ。さすがに平日まで開催したところで、集客は難しいだろう。広島市内から、高速道路を使って約1時間の場所なので、この日程がちょうどよいだろう。


駐車場料金は樽募金でパンフレットと一緒にもらった紙。大きく「車両整理費協力金200円」と書かれていた。

確かに、駐車場周辺には車の整理のため警備員が結構な数配備されており、その人達の人件費だけでもそれなりのものだ。恐らく、大会主催者はそば店や屋台に対して「売上の●%を支払うこと」なんて契約は結んでいない筈なので、運営経費はこういう形で少しでも回収したいのだろう。

日光や松本といったそばまつりは、無料シャトルバスが運行されるくらい運営にお金をかけている。しかしこちらは広島の山間部の人口が少ない町だ、それらのそば祭りと財政状況が違う。

「樽に入れてください」と書かれている通り、会場入口には樽が置いてあった。そこにお金を投げ入れる仕組み。広島の伝統芸だ。広島出身の人なら皆知っている話だが、昔、広島カープが設立直後は市民球団故に資金がなく、球場の入口に募金用の樽が置いてあった。また、広島市民球場の老朽化に伴い、新球場(=現・マツダZoomZoomスタジアム)を作らにゃならん、という時も資金不足だったために樽募金が復活した。広島には西条という酒造メーカー密集地があるので、樽というのは馴染みやすかったのだろう。

そんなわけで、ここにも、樽。


山に囲まれた会場とにかく、自然が豊かな会場で気持ちがよい。

11月中旬とはいえ、まだ広島はお日様さえ出ていればそれほど寒くはない。屋外イベントをするには全く問題ない。むしろ、半月前に開催された日光そばまつりの方が寒かったくらいだ。

中国産地ののんびりした山を眺めながら、会場内をてくてく歩く。正面に見えるのは竜頭山で、標高928.4m。これから食べる蕎麦が旨かったら、「うーまーいー」と叫びながらそのままあの山のてっぺんまで登っちゃうかもしれん。

このあたりに、泉質・湯量ともにナイスな温泉があり、気の利いた温泉旅館があれば結構人気が出ると思うんだがなあ・・・。

注:一応そのものずばりの施設「どんぐり荘」が敷地内にはあるのだが、広島は温泉に恵まれない地なので、泉質については不明。


巨大な屋台駐車場からメイン会場に通じる道には、両側に屋台が並んでいた。お祭りじゃないか、これでは。・・・ああ、お祭りだ。そりゃそうだわ、「そばまつり」なんだから。

ちょっと意外、というか今更気がついた。これまで行ってきた、「金砂郷」「松本」「日光」、それぞれのそば祭りは、いわゆる「お祭り屋台」は無かった。だから、ここでお祭り屋台を見ると違和感を感じたのだった。

結局、マニアックな商品を出す「専門店の出店」なんてのは広島界隈にはそれほど多くなく、こういうイベントの時には「お祭り屋台の店」が登場となるのだろう。それはそれで楽しい。

写真のお店はやたらと細長い、万里の長城的屋台だ。その分品揃えも豊富で、居酒屋かと思わせる。ええと、暖簾に書かれているお品書きを列記すると・・・

ラーメン、酒・ビール、ジュース、ラムネ、うどん、お好み焼き、焼きそば、やき鳥、いか焼き、おでん
だって。ここで酒飲んで終了、と一軒で完結できるお店。それはそれで素敵だが、何のためにそば祭りに来たのかわからなくなってしまう。


屋台が並ぶ 飲食イベントにあるまじきウンチが売られていた

屋台が並ぶ。見ているだけで楽しい。屋台に対して、時代遅れな・レトロなイメージを持っているとすればそれこそ時代遅れだ。さりげなく、どんどん進化している。

たとえばこれをみよ、ウンチが売られている。すげえな。誰が買うんだ、これ。多分コドモが欲しがるんだろうが、それを買い与える親も親だ。売る方も、欲しがる方も、買い与える方も、商品そのものも全部凄い。未来へ突っ走ってるな。


ここからが本題、そばブース屋台をチラ見しつつ、蕎麦屋が並ぶ「そば処 おおごっつぉう広場」へ。

パンフレットによると、7軒の蕎麦ブースがあるようだ。そりゃ楽しみ・・・だが、今日は両親と一緒なので、一軒だけだな。ここは大人しく親の意向に従い、後ろからついていくことにする。


むさし会場入ってすぐのところにあるテントが、「そば処むさし」。

むさし、というのは広島では何店舗もある有名なお店。おむすびがメイン?で、広島の郷土料理などを提供する和食店だ。この豊平にもどんぐり村店があり、以前そこで蕎麦を食べたことがある。

ええと・・・。見ても、何だかよく分からない。ブースが横長で、いろいろメニューが書かれた短冊がぶら下がっていて、どこが売り場だかも分からないし何が売られているのかも直感でわからない。こりゃ従来のそば祭りと全然毛色が違うぞ?


ええと、蕎麦まつりだよな?そもそも蕎麦が売られているのかどうかすれ、わからないという蕎麦ブース。

なんだなんだ、何が起こっているんだ。

若輩者おかでん、まだまだ経験不足だな。痛感させられましたよ。そば祭りともなれば、黙ってブース前の行列に並べば蕎麦が食べられる、と思いこんでいた。せいぜい、「暖かいのにしますか、冷たいのにしますか」とか、「天ぷら載せますか?」と聞かれるくらいで。

しかしここでは、そうはいかない。蕎麦食べるつもりが、気がついたら「若鶏むすび」なんて手にしてしまっている可能性がある。いやいやいや、蕎麦食べに来たんでスけど。

さすが「むすび むさし」。そば祭りといえども、自分のホームグラウンドであるむすびが前面だ。つくね、なんてものも売ってるし、ビールやらラムネなんてものまで売っているので、誘惑だらけだ。

ビール?ビール売ってるのか。車でないとほぼ来られない場所なのに、お酒って売れるんだろうか?ビール一本飲んで、半日くらいここで過ごして、酒抜いてから帰るのかな。


あ、そば職人さんもいたおっと、蕎麦打ちもやっているんだな。

ようやくこれでそばまつりっぽくなってきた。「おっと」と言ってしまうくらい、あまり目立たない有様。このブース、蕎麦をメインで売る気、ないだろ。

それがまたよい。

こういうユルいそばまつり、そばブースがあっても面白い。


海老もあるよむすびの種類は豊富だけど、蕎麦の種類は1種類。

「活 地海老天婦羅新そば」500円。

オンリーワンの蕎麦が、海老のかき揚げ蕎麦というのがすごい。「かけそば」と「もりそば」で勝負するような、直球勝負を最初からしない。それよりも、お得感、満腹感を重視しているのが広島流か。それにしても、天ぷらがついて500円ってめっぽう安いな。


そばはテボで茹でていたうお。

茹で釜が見えたんだが、思わず後ろ20度くらいの角度でのけぞってしまった。

釜にあったのは、テボ。そこに、一人前ずつ蕎麦を投入して、茹でているのだった。立ち食い蕎麦屋以外で、この手の蕎麦の茹で方を見るのは初めてだ。相当びっくりした。

そして、軽く感動した。なんてざっくばらんなんだ、と。これはある意味潔い。

もちろん理想を言えば、麺類をテボで茹でるのは良くない。麺が均一に茹で上がらないからだ。ただ、こういう「現実路線」を堂々と地でいくのを見ると、そりゃそうだよな、これが正解だよな、と妙に納得するのだった。広島のそばまつりなんだし、ええじゃないか。

実際問題、むさしブースにやってくるお客さんを見ていると、蕎麦がひっきりなしに売れているという状況ではなかった。そのために、蕎麦を少量ずつ多頻度で茹でるというオペレーションがベストであり、テボというのは合理的だった。


どんぐり莊レストランやお土産物店がある「どんぐり荘」。

これは臨時テントでは・・・当然ない。

「どぶろく」ののぼりが立っている。

広島の人は酒好きなんかいな。ここでお酒飲ませて、車運転できなくして、滞在時間延長プラス飲食費用さらに上乗せ、という作戦だろうか、なんて陰謀論を仮定するとなかなか楽しめる。 


一体何のお祭りなんだ? 肉の丸焼きもある

どんぐり荘の前には「そば処 どんぐり村」というブースが出ているのだが、これがまた「むさし」以上に蕎麦を売っている気配が見あたらない。

派手に見えるのは、牛肉コロッケ、からあげ君、さつま揚げ・・・といった揚げ物系のお品書きばかり。おかしいな、蕎麦って茹で釜とシンクがないと運営できない筈で、目立つんだがなあ。

大変に目立つのは、串に刺した巨大肉の塊と、その下で炭火焼きにされている焼肉だった。バーベキュー祭りを勝手に始めちゃいました状態。


蕎麦屋台?どんぐり荘の中からこのブースを見てみると、建物のすぐそばに茹で釜が据え付けられていたことに気がついた。煙突付きのコンパクトなもの。へぇ、こんなものがあるのか。

蕎麦を売っている事が全く目立たないのは、

・その他副食類がずらりとカウンターに並べられていること
・蕎麦は当然出来上がったものをカウンターに陳列できないので、目立たないこと
・蕎麦が実際問題、他の商品と比べて売れていないこと
・料金収受する場所がはっきりと定義されていないこと

という理由があり、さらに言うと、蕎麦そのものが「温かい蕎麦」だから、という理由もあった。お椀一個と箸で完結。そりゃ目立たないわな。しかも、蕎麦にレパードリーがない。一種類のみ。

先ほどのむさしも、温かい蕎麦一種類しかやっていなかった。蕎麦で品数を増やすより、つまみ類やご飯ものを増やす方に熱心、というのがこのそば祭りの大きな特徴。いいぞもっとやれ。こういう「地元の人の嗜好」が露骨に出ているお祭りは、ワクワクする。


達磨だけは建物の中で提供どんぐり荘の隣には、「どんぐり館」という建物がある。

ここは、そば打ち道場で、蕎麦打ち体験をすることができる施設だ。食堂も併設されているらしい。

高橋邦弘氏率いる「達磨」は特別扱いということで、この建物の中でお店を営んでいるようだ。建物の前にはディズニーランドのアトラクション待ちのように、つづら折れで行列が並ぶよう仕切りが出来ていた。


たい焼きなんだか、田舎そばなんだか「そば処 長笹みつば会」。

田舎そば、と高々と横断幕を掲げているが、高すぎるが故にその下の「たい焼」の文字の方が目立つ。どっちをメインで売りたいんだ、このブースは。


お酒が並ぶ そば打ちもやってます

そしてここも、店頭をぱっと見る限りでは蕎麦を売っているんだかどうかすら分かりにくい。目立つのは、缶ジュースやビールが冷やされている水槽。こんなにあちこちでアルコールを売っているなんて、何だかすごい。一人で来ていたら、「帰宅は深夜になっても良い」と腹をくくって、飲みまくっていたかもしれん。

で、さりげなく「田舎そば500円」の張り紙。あ、でも、その隣では店頭でそば打ちをやっていた。しかし、捏ね鉢がステンレスボウルだったり、いろいろ見ていて面白い。


おむすび屋? きじ鍋がある

隣は・・・ここはさすがに蕎麦ブースではなかった。松尾きじ園、だって。

きじ串をはじめ、おむすび数種類。きじ鍋なんてものも売られていて、鍋とおむすび、いいなあと思った。ただ、鍋を一杯、おむすび一個、ついでにきじ串なんて食べたらもうゲームオーバーだな。

ホントこのお祭り、「蕎麦を食べていってください」という考えはあまりないな。とにかく祭りだー!という感じ。豊作を祝う秋祭り、くらいに考えた方が良いのだろう。

<つづく>

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